”食べる”ということ

『料理人ガストン・アクリオ』×食×トークセッション

台湾への修学旅行が中止(延期?)になった娘と、残念をとりもどす会?ということで、Como es cinemaへ行ってきました。
ガストン・アクリオさんのドキュメンタリー映画、うきはの山奥のスモークレストランの尾花シェフ&無農薬野菜を作られているDONI FARMの児嶋さんのトークセッション、尾花シェフの豪快で繊細なジビエ料理と美味しい野菜のBBQ、というかなりの豪華で、ワクワクのイベントでした。

ガストン・アクリオさんのことを私は知りませんでした。政治家の父親の期待に応えず、料理人になろうとフランスで修業。ペルーに戻ってフレンチレストランを始めたものの、父親との対話などを通して、料理人として自分はどうありたいのかを追求し続けます。地元の文化・食物・生産者を愛し、感謝し、適正な流通を考えていきます。食物を作り、山や海からの恵みを頂き、料理をすることを夢に思う人たちを育て、応援していきます。そうしてペルーの国民的ヒーローになっていく、という彼の物語は壮大でした。

彼のまわりは、穀物や野菜を育てる人たちの笑顔、昔ながらのやり方で漁をする人たちの笑顔、料理をする人たちの笑顔、食べる人たちの笑顔で溢れていました。彼らはみんな誇りをもって仕事をし、楽しんでいるようにみえました。そして、彼らはペルーをそんな国にしてくれた、とガストンに感謝していました。映画のポスターには、「料理は、星の数より笑顔の数だ。」とありました。

そんな映画を観た後の、ジビエ料理や無農薬野菜のお料理を頂くのに、いつもより一息も二息もおいて感謝の想いを抱いたことは言うまでもありません。
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山の暮らし・無農薬野菜作り・・・暮らしを作っていくこと

小学2年生までガスのない生活をし、包丁より先に斧を覚えた、という尾花シェフのお話。丁寧に丁寧に農薬や化学肥料を使わずに野菜を育てている児嶋さんのお話。尾花シェフが児嶋さんの畑で直接野菜に会って、その日のメニューが決まっていくとか、尾花シェフに畑の中で食べられる野菜(葉っぱ)を逆に教えてもらえるとかのお話。きっと日々大変なんだろうけどほっこり温かな気持ちにさせられるやりとりでした。
そして、私は大川村での山暮らしを思い出していました。

ダムの流木や、森林組合の人が切り倒した材木を頂いて運び、子どもと一緒に薪を割り、薪ストーブを焚いていました。休日の朝、薪ストーブの上に置いたダッチオーブンで焼き芋したり、子どもたちが蓋の上でホットケーキを焼いたりして、いい時間が過ごせてました。
大きなかや株を鍬やスコップで掘り起こし、自然農にも挑戦しました。結局間もなく猿や猪やハクビシンやいろんな動物に先に食べられてしまうようになるのですが、トマトやスナップエンドウ、キュウリ、ニンジンなど、子ども達は収穫したその場で喜んで食べていました。長男が冬場に白菜の葉をちぎって食べて、「甘いね~」なんて言ってたのには、私もびっくりしました。大きなボールにいっぱいのサラダを奪い合うようにペロリと食べていました。田んぼは泥遊びしながら耕して⁉くれてました。不登校だった長男と、古家の壁のじゅらくをはがして、漆喰で塗っていったりもしました。

そんな風に暮らしを作っていって、それが食べることに繋がっていってた山暮らしは、毎日身体はへとへとだったけど楽しかったし豊かだったな、と思い返して思います。子ども達も私も元気いっぱいの日々を送ることができていました。喧嘩も絶えなかったけど😅、笑顔もいっぱいでした😄。

おばばの言葉

北海道紋別に、”森(本当は木と水と土)の子どもの村”というところがあります。徳村彰さん(おじじ)と杜紀子さん(おばば)ご夫婦が、横浜で文庫を始めたのが始まりです。そこで物作りやキャンプもやるようになって、そのうち子ども達が何もないところでキャンプをやりたい、自分たちの村が欲しいと言い始めたところで、過疎地の紋別滝上町と縁があり、そこに子どもの村を作り、夏には全国から100人以上が集まってキャンプを行っています。今ではそこで育った若者や、出会ったカップルが結婚して移り住んだりして一緒に生活しています。

オープンハウス”ゆう”を始めて、子ども達に任せてやってたんだけど、日常は、ほんとに只一緒に過ごしてお話して、お茶して、ご飯食べて、でした。とても楽しかったんだけど、ほんとにこれでいいんだろうか、と時に思うこともありました。冬に森の子どもの村を訪ねた時、そうやって30年近くずっと子どもたちと一緒に過ごしているおばばに聞いてみました。
おばばは、「それが大事じゃない。そして一緒に食べるってことが、いいんだよね~、ほ、ほ、ほ」と、凍らないように冷蔵庫に入れてあるビールを出して、注いでくれながら言ったのでした。

”食べる”こと、って、食べるだけじゃない

”食べる”こと、そして”食べる”ことに繋がるすべてのことを大事に、もっと丁寧にしていきたいな、と改めて思いました。
今回、いつもはよく食べる娘の食が、それほどすすみませんでした。美味しくて甘い野菜が嬉しくてお替りするのはわたしばかり😅後で聞いてみたら、「ああゆうのはちょっと」と言うのです。ショックでした。一緒に畑をやってた頃とは味覚も変わっちゃんたんだな、と。生活が、暮らしが、ずいぶん変わってしまったもんね、と。
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P.S. 話があちこちとんでおります。私の中では全部繋がっているのですが、読みづらかったらごめんなさい。